現在、年間の総医療費は40兆円を超え、薬剤費も年々増加しています。
国民皆保険制度を維持するためには、医療費の増加を抑制することが必要です。
そこで厚労省が検討している薬剤費抑制案の中に参照価格制度というものがあります。
この参照価格制度という仕組みについて解説します。
参照価格制度とは
医療保険が適用される基準を定め、基準を上回る分を自己負担とする制度のことです。
3割負担の人の場合、通常の診察や薬代は3割を自己負担し、残りの7割は医療保険が負担しています。(自由診療*1等を除く)
参照価格制度が導入されると、医療保険が負担している7割のうち、基準を超えた分を自己負担しなければなりません。
ドイツやフランスで導入されているらしいのですが、日本型はジェネリック医薬品を選択しない場合に限って議論されています。
日本型参照価格制度とは
ジェネリック医薬品があるのに先発医薬品*2を選ぶ場合は、その差額を自己負担とする仕組みです。
例えば、先発医薬品が1錠100円で、ジェネリック医薬品が40円の薬があったとします。
30錠で計算すると1ヶ月分の差額は1800円です。
この1800円のうち、どの程度を自己負担とするのかまでは議論されていません。
日本型参照価格制度は導入されるのか?
参照価格制度の導入は1990年代からたびたび議論されていますが、各団体や国民からの反対等により導入されていません。
今も議論されていますが2017年の骨太の方針からは外れたようで、来年度の改定から導入されるかは未定です。
しかし、厚労省では現在65%のジェネリック医薬品の割合*3を2020年9月までに80%に引き上げるという目標が設定されています。
団塊の世代が75歳以上になる2025年が近づき、参照価格制度の導入が現実味を帯びてきている気がします。
最後に
医療費削減のため、参照価格制度以外にも様々な議論がなされています。
将来は、今のように治療を受けられなくなる環境になるかもしれません。
私たち薬剤師は皆さんの健康や医療費削減に貢献できることがあります。
お薬のことや健康のこと、ちょっと体調を崩したときなど、気軽に相談して頂ければ幸いです。