アイン、日本調剤、クラフト等と並ぶ大手調剤薬局のクオールで、処方箋を付け替える不祥事があったのではないかとの報道がありました。
調剤基本料3から調剤基本料1を目指し、当該店舗以外で調剤した従業員の家族の処方箋を、当該店舗から保険請求したとの報道。
結局、基本料1にはならなかったという、個人的にはなんとも悲しい事件です。
少し当該店舗について調べてみました。
<施設基準>
- 調剤基本料3
- 後発品調剤加算2
- かかりつけ薬剤師の施設基準届出済み
(東北厚生局届出受理医療機関名簿より。3月1日時点。)
<実績、薬剤師数>
- 前年度の患者数5836人/年
- 常勤薬剤師2人、非常勤薬剤師1人
(あきた医療情報ガイドより)
数字だけ見ると、恐らく赤字だったのではないでしょうか。
門前と思われる病院の前年度の1日の外来患者数は80人となっていました。
ど門前っていうよりも、ちょっと距離があるため、帰り道に車で寄る感じの薬局だったのかもしれません。
秋田県のクオールは12店
調剤基本料1算定は8件。そのうち基準調剤加算算定は6件
調剤基本料3算定は4件。
(東北厚生局届出受理医療機関名簿より。3月1日時点。)
クオールの決算
第3四半期の営業利益は△3.2%。営業利益は0.2%
第1四半期の営業利益が△20.4%。営業利益が△17.7%
(クオールHPより)
数字だけ見ると、
前回の改定の影響は大きく、
その後、基本料1や基準加算の算定により回復している可能性があります。
※全て平成29年4月時点
薬局というビジネスについて
前年度の枚数で計算すると、
調剤基本料1になると年間の利益が100万強上がる。
基準調剤加算を算定すると200万弱の利益増。
(基準調剤加算算定による人件費や在庫額の増加等は無視しています)
集中率100%から計算すると、年間300人の門前外処方を獲得できれば利益が300万円程度上がる可能性がある。
これが今の薬局ビジネス
もしも私がブロック長だったら
自分がブロック長だったらどうしているか考えてみた。
結論から言うと、不正を行った可能性70%くらいありそう。
私はそんな人間。
決算から想像するに、基本料1、基準調剤加算を算定するのがブロック長の仕事だと思う。
「会社のため」
「自分の出世のため」
「患者さんのため」
「従業員のため」
「家族を養うため」
いろんな理由があって、基本料1にしなきゃいけない。
現場でコツコツ頑張っても無理。
でも基準加算をとるのが私の仕事。
300人なら月1回受診する人を30人見つければいい。
従業員の家族に行って貰えばいいだろう。
(ここまで不正は無い)
ん?遠くて無理?
じゃあこっちで薬貰っていいから、あっちで薬貰ったことにしとくね
(ここが不正)
やっぱり80%くらいの可能性あるかも・・・
この程度の1歩は追い込まれたら、「○○のために」という理由で
簡単に乗り超えてしまうと思っています。
(私はそういう人間なので大手は辞めました。安心して下さい。今は追い込まれることはありません。)
不正を肯定するわけではありません。
不正はいけないこと。絶対に。
でも、
この赤字の店は閉局したらいいのだろうか。
近隣の薬局まで2kmある。(googleマップより)
年間のべ6000人の利用者がいる。
門前薬局は減らしたほうがいいと思うけど、
その流れの中で苦しむのが現場の人や利用者だと思うと切ない。
今回の報道で考えなきゃいけないのは、
大手調剤薬局がどうとか、
ブロック長のモラルとか、
管理薬剤師のモラルとか、
協力した従業員のモラルとか、
そういうことじゃないのではないかと思う。
これをきっかけに、
赤字店舗の尻を叩くのではなく、
独立したい薬剤師に譲渡する事例が増えることを願います。
1店舗から始めるリスクが高くなっている昨今、希望者はいるのではないでしょうか?
最後に
あなたがブロック長なら不正をしないと言い切れますか?
最後までお読み頂きありがとうございます。
今回は何も考えず思ったまま書いてみました。
反論があるのは承知ですが、お手柔らかにお願いします。
【H29.4.21追記】
医薬経済社より事業部長関与の報道がありました。
「もしも私が事業部長だったら~」は規模が違いすぎて想像できません・・・
「もし私がブロック長だったら」事業部長と戦う勇者になれたか、今度考えてみようかと思います。