正直、敷地内薬局解禁のニュースをみた時は吃驚しました。
厚労省は敷地内薬局には反対のようですが、このような形で「病院前の景色を変える」ことになるとは・・・
モノからヒトへ、門前薬局からかかりつけ薬局へ、再編されようとしている中で、逆行する規制緩和です。
しかしながら、法律上問題ないなら仕方ありません。薬剤師会が反対してもこれからどんどん増えるでしょう。
薬局をテナントに入れる前提で病院が建つ時代が来るかもしれません。
私は、今から敷地内薬局の可否を議論するのであれば反対ですが、敷地内薬局OKなのであれば、しっかり独立した薬局として機能して欲しいと思います。
これから増えていくであろう敷地内薬局のメリットについて考えてみました。
その1 患者さんのメリット
まず一番に患者さんの利便性が上がるということ。距離の効果は絶大です。
大学病院クラスになると敷地が広いので一番近い門前薬局でも高齢者が歩くにはかなりの距離だったりします。
今までそこそこ歩いて横断歩道渡らなければいけなかったのが、敷地内に薬局ができたらそれはそれは便利になるはずです。
敷地内にある薬局だから病院と連携取れていそうな安心感も発生するかもしれません。
(敷地内薬局と言っても、今までの門前薬局と変わらない距離の薬局もあるようです。)
そもそも患者さんが便利になるということは、社会に必要なシステムが規制緩和されただけとの考え方もできます。
【一部の一般人の意見はこちら】
将来的に門前薬局が潰れて近隣の地価が下がり、本来病院の近くにあると便利な施設が建って欲しいです。
カフェも、定食屋さんも、果物屋さんも、花屋さんも、
全部薬局になっちゃったっていうところあるのではないでしょうか。
その2 薬薬連携
個人的に期待したいのが薬薬連携についてです。
最近流行の他職種連携研修に行っても、病院薬剤師との距離ってすごく遠い気がします。(私に問題がある可能性大いにあります)
大手企業のエース級が薬局長に配属されるのでしょうから、病院の薬剤部と地域薬局を繋ぐ架け橋となる役割を果たして欲しいです。
良好な関係を築けば、トレースレポートや施設間情報連絡書等による患者情報の共有、地域薬局への情報提供等が、既存の薬局よりもやりやすいかもしれません。
腰の重い薬剤師会よりも処方箋に検査値を入れてもらえるよう依頼したり、疑義紹介省略の提案をしたりできるかもしれません。
本来あるべき薬局として機能すれば地域のイノベーションに貢献できるのではないでしょうか。
その3 病院のメリット
安定した賃借料入ります!
それ以外のお金動くかどうか、私ごときには分かりません・・・
あとは入院患者の一包化をアウトソーシングしたり、共同仕入、在庫管理共有(恐らく現行法では無理)等も今後はありえるのかもしれません。
業務効率の改善や経営の安定化は、よりよい医療を提供することに繋がるはずです。
薬局の独立性パラドクスがより複雑になりますが…。
患者さんが便利になるということも病院のメリットの一つかもしれません。
その4 薬局のメリット
門前の土地の金額を考えると、敷地内の賃貸料は破格の安さに感じます。
今後点数が下げられるかもしれないことを考慮しても、他店舗展開している薬局が出店するメリットは大きいと思います。
テナントの大きさや病院との距離にもよりますが、かなりの枚数を見込めるはずです。
中核病院の処方箋が多く集まれば、研修としての役割や在庫管理のメリットもあります。
反対する株主はいないのではないでしょうか。
最後に
利用者にとって良し、病院にとって良し、薬局にとって良しと言う視点で、強引な部分もありますが敷地内薬局を肯定してみました。
これから患者さんはどのような選択をするのでしょうか?
敷地内薬局ができたら門前薬局は減るのでしょうか?
敷地内薬局を皮切りに調剤報酬が下げられるのでしょうか?
私には分かりませんが、敷地内薬局は破壊的イノベーションのトリガーになる可能性があると思っています。
その後に新しい薬局が生まれるのかもしれません。