お疲れ様です。
今週は忙しく、全くブログを更新できませんでした。
日経DIの熊谷信先生のコラム「改定の時期になると、いつも落ち込みます」からの引用です。
調剤報酬が上がるとか下がるとかいうことよりも、私たちの行っていることや、私たちの存在自体を否定されているかのように感じられる
今まさにこんな感じです。
私は門前薬局で働いていますが、医療費を削減できなければ存在する意義がないのかなと。
それなりに働いているつもりですが、私が保険薬剤師として薬局に勤務しないほうが世の中のためなのかなと。
ちょっと暗すぎますね。すいません。
※当記事の見解は個人的解釈に基づいておりますので、予めご了承下さい。
スイッチ評価検討会議
15日、医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議が開催されました。
議事録はまだですが、資料が公開されています。
医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議審議会資料 |厚生労働省
下記成分に関して議論されたようです。
- ヨウ素・ポリビニルアルコール
- リザトリプタン安息香酸塩
- スマトリプタンコハク酸塩
- エレトリプタン臭化水素塩
- ナラトリプタン塩酸塩
- ゾルミトリプタン
- クリンダマイシンリン酸エステル
- ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル
医薬経済社が「OTC薬化、眼の殺菌洗浄液1成分だけ」と報じています。
ヨウ素・ポリビニルアルコール点眼・洗浄液のみということでしょうか。
一度も調剤したことがないので、あまり流通していない薬な気がします。
行政事業レビューで調剤技術料検証
秋のレビューで調剤技術料について公開討論されました。
秋のレビュー 3日目(11月16日)
とよし (@toyosshi)先生が即日まとめて下さいました。ありがとうございます。
TwitLonger — When you talk too much for Twitter
気になった部分を一部のみ抜粋しておりますので、本文よりご確認下さい。
【伊藤由希子氏】
1枚の処方箋に対して平均として2240円薬局への手数料
総額から計算されているようなので、在宅や夜間、一包化、混合、麻薬等全部ひっくるめてでしょうか。詳しい計算方法は分かりません。ただ、序盤にこのように表現されるとこの形式の討論の流れは決まってしまうのかなという印象です。
その後、「院内と院外では3倍ほど技術料の差があり、全て院内処方にすれば1.6兆円の医療費が削減できる」とのことです。
私が今週やる気を失った原因の発言です。
個人的な理由で、過去の経験から「もし院内調剤に戻されたら」ということに敏感に反応してしまいます。
1.6兆は医療費の4%です。逆に増える医療費もあるでしょうし、調剤過誤も増えるはずです。
院内処方に対応できない病院もあり、実現不可能なはずです。
しかしながら、「院内処方に戻すぞオラァ」と公の場で言われた気がして、どうもやる気がでません。
【石堂正信氏】
かかりつけ薬剤師について
服薬情報の一元的管理っていうのはまぁ今のあのコンピューターの普及とかそういうことを考えればですね、別に特定の医者、薬剤師あるいは薬局でなくてもですね、患者が例えばもってるカード1枚で履歴が分かるってなことぐらいで対応できそうな感じがする。
「対応出来そうな感じがする」とのことですが、ICT化が進んでいない感じがします。
24時間対応というのはそもそもかなりレアケースなんだろなぁって感じがしますし、こちらでいくと、一人の患者が一人の薬剤師をもう独占してしまうようなイメージすらある
レアかどうかは分かりませんが、一人の薬剤師が24時間対応する必要はないと感じています。
【河村小百合氏】
薬学管理料ってのは、なんか私なんかの経験だといつもついているなと思うんですけれども、
(中略)
毎回ついているものっていう理解でよろしいんでしょうか。
その後、「基本料に含まれるべきではないか」という話になります。私はこのあたりから、この台本ヤバイなと感じました。
個人の経験を基にお話しされているようですが、管理料を算定しない場合もあるので基本料に含むのは如何なものかと感じます。
管理料を算定する割合が減ると、管理料を算定しないという経営スタイルが有なのか、いろいろな問題が発生するかもしれません。
【佐藤主光氏】
後発医薬品の使用促進に薬剤師がどの程度寄与しているかについて
患者としては安いものがいいと思えばおのずから後発医薬品にいくわけだし、じゃぁそのまぁお医者さんの方も理解して、後発医薬品でいいですよってことになればまして進むわけじゃないですか。
患者さんにも医師にも一生懸命ジェネリックすすめてきて、これを言われるとほんと泣けてきます。
【佐藤主光氏】
3倍の価値について
薬剤師としてのですね独自性というのがほんとに発揮されていたというふうにエビデンスというかですね実態としてどうなんでしょう。
「院内処方に戻すぞオラァ」で屈服する私には、語る資格はないでしょう。
医療費抑制よりも、患者さん、スタッフ、会社、家族等を優先してきましたすいません。
【伊藤由希子氏】
そもそも論でいいますと、医学的に見ても財政的に見ても、薬局に必要な機能っていうのは薬を減らしていただくことだとわたくしは思っています。
勉強不足だった私は「薬局に必要な機能は薬を減らすことだ」ということを薬剤師になって初めて知りました。
高校生の時に教えて欲しかったです。
【河村小百合氏】
門前薬局といわれるような大手チェーンの薬局さんがたくさん増えて
(中略)
医薬分業進めてやってきた結果こういう形になっちゃったことについては厚労省としてはどうお考えになりますか?
「医薬分業がこういう形になっちゃった」
厚労省は具体的な対策として「報酬上の設定」と「分割調剤の普及」を挙げていますが、今までと特に変わらないような気がします。
【石井雅也氏】
院内と院外の差について
原価側のアプローチで薬剤師の方を雇用するとどのくらいかかるからどのくらいの点数って、そういう計算になってるんですかね?
総額で判断して配分している感は私も感じます。
逆に言うと、高度の管理が必要な人、長期の一包化や大量の混合など採算が合わない業務を個々の薬局で行っています。
スイッチや零売を進めて、管理を必要としない人が自己負担で購入できる仕組みがあれば、一部解決する気がしますが、そのような議論をする場では無いのでしょう。
【石井雅也氏】
本来は薬局の薬剤師さんが患者さんにこの薬はこうこうこうなんですよって、頼まれていなくたって、教えてあげるべきですよね。だってそれが仕事なんだもん。
いや、それが仕事なのですが・・・悔しい
とりまとめ(筆者修正あり)
- 現行の調剤技術料は薬剤師・薬局サービスが生み出す価値の如何を問うことないまま、その費用を補填する仕組みになっているのではないか(3倍にみあう価値というのが検証されていないのではないか)
- 調剤技術料の全体的な報酬水準引き下げを含めて、体系を作っていく必要があるのではないか
- 調剤基本料については医薬分業が定着していることから、その役割についてはある意味終えているということも含めて見直しが必要ではないか
- 門前薬局や大型チェーン薬局については一層引き下げの余地があるのではないか
- 厚労省が目指しているかかりつけ薬剤師・薬局は現時点ではいまだに少数派であり、今の調剤報酬体系のままで目指す姿に行くということについてはまだ疑問の余地がある
- 真に患者のためのかかりつけ薬剤師・薬局を進めるためにも、メリハリのある、適正で効率的な調剤技術料の報酬設定を目指すべきではないか
- 薬剤師・薬局の実態を踏まえたうえで、どれくらいの価値を生み出しているかという患者目線で調剤技術料の設定が必要ではないか(現行では一部しかやっていないようなこと、薬剤師・薬局のあるべき理想像をベースに加算とかいう措置を決めているのではないか。)
- 証拠に基づく政策形成つまりEBPMの視点による調剤報酬の改定というのが急がれるのではないか
3番の「基本料の役割は終えている」という議論は無かったような気がするのですが、私が見落としているのかもしれません。
検証後、すぐにとりまとめを発表できるのは凄いですが、これはとりまとめなのでしょうか。よく分かりません。
秋のレビューを読んで私が次回の改定で気になったのは
- 個人の薬局やドラッグストアの併設店等にどの程度影響がでるか。
- 地方薬局の存続
- 自己負担(安さ)での集客が発生しないか
- リフィル導入
- 在宅の点数
という今回の討論では議論されなかったことでした。
未来投資会議
15日、未来投資会議構造改革徹底推進会合 「健康・医療・介護」会合(第2回)が開催されました。
資料が公開されています。
議題に「遠隔診療の推進」がありますが、資料には薬局に関する記載はありませんでした。
今の流れだと、遠隔診療は院内処方で宅配でしょうか。
その他の改定関連ニュース
- 診療報酬を都道府県別に 厚労・財務、17年度中に指針 :日本経済新聞
- 先発薬、6年で価格引き下げ 厚労省が薬価改革案 :日本経済新聞
- http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171118/k10011227591000.html
- 新薬加算、革新性で厳格評価=特許切れは値下げ強化-厚労省:時事ドットコム
「都道府県別に」というのは権限次第でかなり影響力が大きい気がします。審査と組み合わせることも出来ますし。
日本医師会は反対のようですが、どうなるのでしょう。
本丸に成り得る制度のように感じますが、地方での医師会の影響力が良く分かりません。
最後に
楽して稼いでいる薬局や薬剤師がいるのかもしれません。そこにメリハリをつける必要はあると感じます。
しかし、制度設計が失敗するような気がしてなりません。
取れるところから取るだけでは、取れるところが無くなったら医療が崩壊してしまうのではないでしょうか。
国は明確なビジョンを持って判断しているはずですが、その場しのぎで対応しているのではないかと心配になってしまいます。
ネガティブな内容になってしまいましたが、変化があれば生まれるものもあるはずなので、来週あたりから前向きに考えていきたいです。
私は今、調剤薬局向けのアプリを開発できないかと企てており、来週はとりあえずそういう楽しいことだけ考えようと思います。